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元ドッター現webゲーム企画屋朱石によるまとまりの無い独り言ブログ。 多分ソーシャルメディアやドット絵の話がメイン。
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ブログではお久しぶりです。
最近忍者ブログがしばらく書いていないと消える仕様になったようなので、削除回避も含めて雑記。

ソーシャルの創作現場いろいろまとめようかと思ってた矢先、規制のニュースが入りました。
規制の範囲云々も含め、分からない部分が多かったので、珍しく度真面目に調べてみました。

■ソーシャルゲームのガチャがついに規制?

twitterなどのネットメディアを中心に、
ガジェット通信さん(http://getnews.jp/archives/204672)やらINSIDEさん(http://www.inside-games.jp/article/2012/05/05/56364.html)からコンプガチャ規制の記事が流れました。
媒体によって内容がやや異なり、「コンプガチャが禁止」「ガチャを規制」と混乱している状態。
調べてみれば、今回のニュースは元々5/5付読売新聞朝刊の独占記事だったようです。
ということで、たまたま読売を取っていたので今朝の朝刊を確認。
内容を要約すると、下記のようなものでした。

・特定のカードをそろえると希少アイテムが当たる「コンプリート(コンプ)ガチャ」を消費者庁が規制する方針。
・コンプガチャは「景品表示法で禁じる懸賞に当たる」と判断。
・具体的には、コンプガチャのシステムが「景表法で禁止されるカード合わせ」に該当するとのこと。
・まだ正式な見解の発表ではないが、同庁はゲーム業界に中止するよう要請し、会社側が応じなければ景表法の措置命令を出す方針。
・『コンプガチャが使われる主な人気ゲームには、モバゲーで遊べる「アイドルマスターシンデレラガールズ」やグリーの「探検ドリランド」などがある』との記載がある。
・GREE社「正式な要請が来てから適切に対応したい」DeNA社「コメントを控えたい」

大見出しには”アイテム新商法「違法」”と扇動的な文字が躍っていましたが、消費者庁の公式見解はまだなのでご注意を。
ともあれ、恐らく今後消費者庁から正式な警告が来ることは間違いなさそうです。


■景品表示法「カード合わせ」とは

さて、ここで出てきた"景品表示法で禁じる懸賞""カード合わせ"とは何か。
景品表示法については消費者庁に解説のページがありました。

http://www.caa.go.jp/representation/keihyo/keihin/keihingaiyo.html

そもそも"景品"とは、
 (1) 顧客を誘引するための手段として,
 (2) 事業者が自己の供給する商品・サービスの取引に付随して提供する
 (3) 物品,金銭その他の経済上の利益

とのこと。ソーシャルゲームのデジタルデータも、「物品、金銭その他経済上の利益」とみなし適応されます。

そしてソーシャルゲームのガチャは、くじ引きによる景品抽選システムであるため、
「商品・サービスの利用者に対し,くじ等の偶然性,特定行為の優劣等によって景品類を提供する」
という項目に該当する「一般懸賞」に該当すると思われます。

ということで、「一般懸賞」の項目にあるPDF
    懸賞による景品類の提供に関する事項の制限(告示)
をチェック。

なんだか難しい項目がたくさん並んでいますが、
ソーシャルゲームにおいては「懸賞により提供する景品類の最高額」に関する項目についての問題は今のところ明示できないものと思われます。
ということで今回の争点になった項目はたったの一つ。

5 (前三項の規定にかかわらず、)二以上の種類の文字、絵、符号等を表示した符票のうち、異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用いた懸賞による景品類の提供は、
してはならない。


これが今回のコンプガチャ規制の争点になった、「カード合わせ」の規定です。


さて、これだけではよく分からないので、もう一つのPDF
懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」の運用基準
をクリック。
カード合わせについては、以下の記述がありました。


4 告示第五項(カード合わせ)について
次のような場合は、告示第五項のカード合わせの方法に当たらない。

(1) 異なる種類の符票の特定の組合せの提示を求めるが、取引の相手方が商品を購入す
る際の選択によりその組合せを完成できる場合(カード合わせ以外の懸賞にも当たら
ないが、「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」その他の告示の規制
を受けることがある。)

(2) 一点券、二点券、五点券というように、異なる点数の表示されている符票を与え、
合計が一定の点数に達すると、点数に応じて景品類を提供する場合(カード合わせに
は当たらないが、購入の際には、何点の券が入つているかがわからないようになって
いる場合は、懸賞の方法に当たる(本運用基準第1項(4)参照)。これがわかるように
なつている場合は、「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」その他の
告示の規制を受けることがある。)

(3) 符票の種類は二以上であるが、異種類の符票の組合せではなく、同種類の符票を一
定個数提示すれば景品類を提供する場合(カード合わせには当たらないが、購入の際
にはいずれの種類の符票が入っているかがわからないようになつている場合は、懸賞
の方法に当たる(本運用基準第1項(3)参照)。これがわかるようになつている場合は、
「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」その他の告示の規制を受け
ることがある。)


ここまでややこしい法律上の文章が並んでいますが、
一つ確かなのは、今回の争点が景品表示法で定める「カード合わせ」に限っただけのものだということです。
つまり、現段階での発表で見る限りにおいては、この「カード合わせ」の条項に違反するものだけ規制されるものと思われます。

■もっとわかりやすく!

さて、では具体的にどのようなものが規制の対象になるのか。

懸賞による景品類の提供に関する事項の制限(告示)
を要約すると、このようになります。

「[異なる2つ以上のものをくみあわせて提示させる方法で、景品を提供する]ことは禁止する」

コンプガチャは必要なリストのアイテムを揃えることで、さらなるアイテムのプレゼントや、限定されたガチャへの参加権が手に入ります。
この「必要なアイテムを揃えて」+「さらなるアイテム」の二項目が揃っていることで、景品表示法に抵触するとの見解です。

逆に言えば、いずれか片方しか成り立たない場合はこの規制には抵触しません。
読売新聞でもかなり厳しい語調でガチャへの批判があることを明記していましたが、現段階ではこの項目に該当しないガチャは規制の対象外になると思われます。


そして、この「カード合わせ」にも例外規定があります。
先ほどの"「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」の運用基準"の項目です。

要約すると、
1)2つの項目の組み合わせで提示させるが、購入者側が任意に選択できる場合。
2)抽選が「点数券」になっており、点数がある一定以上に達すると景品がもらえる場合。
3)景品は複数入っているが、1つの景品について複数提示する方法で景品を提供する場合。


つまり、

・2つ選んで購入すれば限定アイテムをプレゼント!
・アイテムに付属した点数を集めよう!X点以上で限定アイテムプレゼント!
・アイテムを集めよう!限定アイテムXを3つ集めると、限定アイテムプレゼント!


といった方法は対象外になると思われます。
景品を複数個集める…というのが対象外なのは意外でしたが、「引換券何枚集めてプレゼントをもらおう!」という方法の規制を避けるための条項なのかもしれません。
恐らく今後はこう言った方式が主流になっていくことでしょう。

ただし、いずれの項目も「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」その他の告示の規制を受けることがあるとされています。
そして「一般消費者に対する~」という事項の内容を要約すると、

1)景品類の価額は、景品類の提供に係る取引の価額の十分の二の範囲内の金額であること。
2)上記は正常な商慣習に照らして適当と認められるものであれば適用されない。


…きわめて曖昧な条項でした。
今後争点になってくるとしたら、「正常な商慣習に照らして適当と認められるか」「価格は十分の二の範囲内であるか」が問題になってくるでしょう。

■まとめ

さて、今回の報道では、ソーシャルゲームの「コンプガチャ」を明確に禁止するとも取れる見解でした。
昨今ソーシャルゲーム業界では、「ガチャ」のシステムによる問題が多く叫ばれています。
今回「ガチャ」に関しては規制の対象外と思われますが、いずれにせよ、今後この確率抽選自体が大きく見直されていくことになるかもしれません。
なんにせよ、消費者庁による正式な見解を待ちたいところです。

参考
読売新聞 2012年5月5日 朝刊
消費者庁ホームページ 表示対策課
http://www.caa.go.jp/representation/index.html

※当方法律の専門家ではなく、あくまで条文からの推測に基づいて記述しております。
もし法律上の解釈で異なる点があればご連絡ください。
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女性
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1987/03/10
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ゲームプランナー的な何か
趣味:
ドット絵
自己紹介:
職業ドッターを名乗れるようになった…と思えばいつの間にやら企画者だか運営者だかの仕事がメインになってきたドット描き。
制作の仕事と、企画者としての立場で板挟みになりながら、今日も何とか生きてます。
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